日々の音楽制作でリバーブは使っていますか?リバーブ成分自体を大きな音で聞く機会はほぼないため、普段は小さな音で聞いていると思います。リバーブプラグインはたくさんありますし、IRだけでも無数の部屋を収集しているはずです。では、これらのリバーブはどのように評価し、今回の制作で使うか使わないかの判断をすればよいのでしょうか。
まず、リバーブプラグインのチェックのために使う楽器は、スネアがちょうどいいと思います。1小節に1ショット置いて、それをループさせましょう。パン、パン、パン、、、と繰り返す感じです。
次にリバーブそのものの音を聞きたい場合は、センドをプリフェーダーにして、スネアのフェーダーはゼロにします。そうすると、リバーブだけの返りを聞くことができます。案外、リバーブごとにこの返りの印象が違うことがわかると思います。普段のように楽器にかけるだけではいまいち聞き取れなかったリバーブ成分のみも、このようにすればチョイスする意味があるように思えます。
次に、スネアの音を分解して考えてみましょう。太鼓の表面にバチが当たり、その表面の膜が振動し、それが筒の中で響き、最後に底についているジャラジャラが振動します。少し複雑なので、とりあえず擬音的に「タンッ!」をイメージしましょう。スネアがなるときは、バチが表面にあたった際の「タ」とそれが響く「アーンッ!」に分けて考えると便利です。これをトランジェントとテールと考えてもOKです。リバーブをなぜ楽器に足すのかと言えば、足すことによって臨場感を増したり、空間の残響の深さを表現したり、音自体をリッチにしたりという目的があるかと思います。それを達成する練習として、リバーブをスネアの「アーンッ!」部分(テール部分)にのみかけて、スネアの音を生々しくリッチにすることを目指してみてください。
ヒントとしては、「タ」を素通りさせるために、プリディレイを使うことになるかと思います。単純にテールにリバーブをかけたとしても、そこまで良くはなりません。ダンプ、EQ、ディフュージョン、幅などを駆使して、スネアの「タンッ!」がリッチに聞こえるポイントを見つけていってください。
それができるようになると、プリディレイをゼロにする場合との使い方の差や、リバーブをあえてモワッとさせてみたり、濁してみたりなど、次の使い方へ発展していけます。この、スネアで培ったリバーブ感覚は他の楽器全てに応用できますので、リバーブそのものを使う際の考え方がこれまで変わると思います。