音楽の勉強を開始した際、コード学習はかなりの障壁になります。こどもの頃、学校でコード理論よりもたくさんのことを学んできたわけですが、なかなか成人してからこれをゼロから学ぼうとすると挫折する人が多いです。まあ、学校の勉強も、全員が全員、きちんと理解できたわけではないんですが。
独学でコード理論、音楽理論を勉強する場合、注意していただきたいことがあります。それは、学習中に必ず「コードを楽器で鳴らす」ということです。西洋音楽のコード理論は、実際に学んでみると、結構論理的な構造になっています。これを紙の上だけで、「パズルのように課題を解く」ということをやってしまうと、コードと耳と手が紐づかないので、いつまで経ってもコードの音感が身につきません。また、覚える内容もそこそこあるので、単なる記号や文字列をそのまま記憶しているような学習になるため、なかなか覚えられずに挫折する要因の1つになります。
今の時代ですと、「DAWでコードが鳴らせるので、楽器がなくても困らないのでは?」という疑問が出てくるかもしれません。コードというのは、1つだけでも多少の雰囲気を感じますが、同じコードでも様々なコード進行の中で雰囲気が変わっていきます。作曲する際に、コード進行をいちいちDAWに入力して確認しながら作っていくと時間がかかりますし、どこかぎこちない感じがでやすいです。実際には、仮歌詞、メロディ、コード進行を1~2小節くらいずつほぼ同時に作っていきますので、これがスムーズにいかなくなります。また、耳の育ちも遅くなりますので、あえて選ぶ方法ではありません。
音感がついてきて、頭の中でコードが処理できるようになると、作曲の際に楽器を弾くことは減ってくるかもしれません。ですが、それは結果論であって、学習段階では楽器がないと困るわけです。ここで、楽器とは和音が出せる楽器、つまり鍵盤やギターを指します。そして、作曲をするうえでは、鍵盤のほうがより便利でわかりやすいです。学習段階において、いつ楽器を導入するかによって、その後の学習スピードは結構変わってきます。できれば、早いうちに手元に鍵盤があるほうがいいです。
コード理論を学習することにより、西洋音楽の構造を学んでいると思うかもしれませんが、それよりも西洋音楽に対する音感の訓練をしていると思ってみてください。