皆さんが音楽制作を始めようとしたとき、1番目に買うものはDAWだと思います。DAWはどれを選んでも構いませんが、1番上のモデルを購入されることをお勧めします。トラック制限等の機能制限が下位グレードにはあると思いますので、最初から全て揃った状況のほうが好ましいです。DAWはどれでもいいということを言いましたが、実際は、Cubase、Ableton Live、FL Studio、Reaperあたりが候補になると思います。思い入れがある場合はStudio OneやLogicでも構いません。ただし、後者はコスパが悪かったり、使い勝手などが1ランク下かなと思います。作曲をメインでやるならCubase、トラックメイクをやるならAbleton LiveかFL Studioがお勧めになります。FL Studioをここで選んでいるのは、アップグレードが永久に無料だからです。音源用としても使えるため、一応候補に入れています。Reaperについては、作曲はちょっと不便ではあるのですが、その分ルーティングがすばらしいので、録音やミックス/マスタリングに活躍します。値段も他に比べて安いので、サブDAWになります。Pro Toolsが出てないぞと思った方もいるかも知れません。これはあくまでエンジニア志望の方に限ったチョイスですので、作曲をやる用途としては省きました。
さて、本題です。DAWを買ったということは、これからDTMをやっていこうという覚悟ができたということです。そして、いろいろ情報収集を開始されると思います。巷では、有料プラグインのセール情報が溢れかえっていますので、おそらく欲しくなるでしょう。ですが、DTMを始めたての状況では、有料プラグインはとくにはいりません。なぜかと言うと、DAW付属のプラグインがとても優秀だからです。まずは付属プラグインを使い倒しましょう。
じゃあ有料プラグインの利点は何かというと、単純に時短できるということです。プラグインは新しい設計のものほど音がいいのは当たり前として、何十年も前からほとんど種類は増えていませんよね。これらの設計思想もやはり何十年も前からほとんどかわりません。新しいものが出たとしても、大抵のプラグインは他のプラグインの組み合わせである程度再現できたりします。音をいじれる因子が限られており、すでに出揃っていますから、当然そうなっちゃいます。
ですから、まずはDAW付属のプラグインや無料プラグインを使って、その基本動作、なんのために使うのか、使うとどういう効果があるのか、これらを習得してください。そしてその後、有料プラグインを検討するとよいです。有料プラグインもたくさん買わず、1つ買ったら、それを手持ちのプラグインで再現する練習をしてみてください。そうすると、各種プラグインの理解度が飛躍的に向上します。これがプラグインを効果的に使えるようになるための練習です。
ここまでの話は、コンプレッサーやEQなど、昔からあるタイプのプラグインについてでした。有料プラグインの利点はもう1つありまして、それは有料プラグインにしか付いていない機能があるということです。例えば、オートレベラー、トゥルーピーク対策ができるリミッター、ノイズが消せるユーティリティ系、ダッキングやゆらぎを担当してくれる系、波形分析やAB比較などができるユーティリティ系、そしてAI制御系、などです。これらはDAW付属プラグインではできないので、有料プラグインを買う価値はあります。DAW付属プラグインを使っていると、おのずとなぜこれらのプラグインが存在するかという意義がわかってきます。ですから、この観点においても、有料プラグインを買い始めるのはこういうことが理解できてからです。
ちなみに、波形分析系も、実は最低限度のことは無料プラグインの組み合わせで実現可能です。これについては、別の機会にお話します。