DTMをやっている際にMIXについて色々悩むことがあるかと思います。著者が作曲を習っていた時代では、MIXは音を単純にきれいにするようなものではなく、楽曲の世界観に応じた雰囲気づくりの一端を担う芸術的行為と教えられてきました。現時点で私が思うことは、音作りに対しては実際にそれは確かだがMIXについてはほとんど価値観は収束していっていたということです。かつての著者もその指示を受け、昔の楽曲をせっせとコピーしてそっくりな2MIXを作ることを目指していましたが、実際のオーダーでは過去のエッセンスを踏襲しつつ現代的なMIXに落とし込むことしか要求されたことはありません。
さて、遠回りな発言はこれまでにして、本題を述べます。MIXにおいて、大小ターニングポイントはいくつかあるように思いまして、今更昔風のMIXをする意味はほぼなくなっています。小さなところで言いますと、オートレベラーやコンプのサイドチェインというものでMIXをかなり単純化簡略化できました。そして大きなところがポイントなんですが、サイドチェインの派生、MS処理の派生、トランジェントとテールの処理、このあたりの自由度がほんのちょっとのことで広がり、これらを使えばもはやオールドタイプなMIXをする意味もなくなってしまいます。先に述べました通り、MIXで求められることは昔のMIXを忠実に再現することではなく、現代的なサウンドが求められているからです。
逆に言えば、サイドチェインの処理(特にEQ)、MS処理、トランジェントとテールの処理、そしてこれらの組み合わせを追求しなければ現代的なMIXは実現できません。この状況を進歩と言うか、トレンドと言うかは難しいですが、少なくとも少し古い本などの情報に従っていては到達できません。教訓としては、MIXに関わらず、新しいものを求めているのはどの部分か、古い良いのを残す部分はどこか、ということなのでしょう。時代が新しいものを求めているのですから、古い慣習を疑い、それに従わず、未来を求めることが大切という話でした。