スピーカーセッティングを考えた時、昔の時代は大抵部屋の構造を良くしようという話に帰着していました。そのため、普通のオーディオファンやDTMerでは実現が難しく、半ば諦めるしかありませんでした。
しかし、近年ではニアフィールドでのリスニングが主流になりましたので、直接音が主体となり、昔ほど部屋鳴りを気にする必要が薄れています。また、部屋鳴りに相当する部分は、ヘッドホンを併用することでミックスもある程度の水準で行えます。
ここでは、自宅でDTMを行う上での、現実的なスピーカーセッティングについて述べます。
多くの方は、どうしても部屋の隅に設置するしかないと思います
左にあるのが、スチールラックに置かれたスピーカーとサブウーファーです。スチールラックは机として使っています。耳の高さにあるのがスピーカー、一番下の段にあるのがサブウーファーです。下の段にはPCも置いてあります。
真ん中にあるのは椅子です。肘掛けがありますが、浅く腰掛ければギターを弾いても邪魔になりません。側には飲み物を置く用の小さなスチールラックを別途置いています。どれだけスチールラックが好きなんだという感じですね。
画面右には、各種箱を置いています。ほとんどが段ボール箱であり、スピーカーの空き箱、衣類が入った箱、片付けてある機材の箱、などを無造作に置いています。
部屋は8畳程度で長細い形状をしています。かつては部屋の真ん中にスピーカーを配置していましたが、さすがに邪魔でした。この図のように部屋の奥の隅に置くしかないのが現実だと思います。スピーカーを配置しているスチールラックは、壁から離せてもせいぜい50cm程度なのではないかと思います。一応、推奨されている壁からの距離の最低ラインですね。右側のスピーカーはさらに窓側の壁からもそれくらいの距離を離しています。
スピーカーはスチールラックの付属プレートに置いています。これがとても便利であり、スピーカースタンドの代わりになっています。下は網状になっているため、音の反射の邪魔になりません。スピーカーの高さは耳よりやや高い位置で、少し下に傾けています。本当は耳と並行に置きたいのですが、机となる中央の天板を有効に活用するためには、これくらいの高さに設置しておいたほうが邪魔になりませんので、仕方なくこの配置を採りました。ちなみに、MIDIキーボードは必要な際にのみこの天板に乗せて使います。
一番下の天板には、サブウーファーを上向きに配置し、PCも置いています。サブウーファーの床置きを避ける理由と、サブウーファーの形状を考えるとこういう置き方になってしまいました。低音は指向性が全方位なので、特にこれで困っていません。PCも横向きに配置することになり、その上にトラックボールと文字を打つキーボードを置いています。
スピーカーを配置した反対側の壁は、通常多くの場合吸音材が配置されます。よくあるギザギザのウレタン吸音材は、高音しか効きません。したがって利用する意味は薄いです。ロックウールなどで厚みを5~10cm出したパネルを設置するのがよいと思いますが、これだと中音やある程度の低音にも効くのですが、壁の原状回復を考えると設置が結構面倒くさく、デッドスペースになるため考えものです。吸音材として昔から実用的だと言われているのは衣類や使わない枕、布団などです。現実的には、こういったものを何らかの方法で壁の前に置くことが、実用性も考えると1番楽な方法です。写真では段ボールに入れて実現しています。ちなみに、段ボールの重ね方や中に入れるものを変えることで、ディフューザー(拡散材)としてもある程度機能します。あまり段ボールを積み上げすぎると地震などの際に怖いので、耳の高さくらいまで積むくらいにしておくといいと思います。
椅子は何でもいいです。写真では椅子の下に分厚いフィットネスマットと、キャスターにより床を傷つけないマットを重ねて敷いています。
椅子の隣には、小さいスチールラックを配置することをオススメします。飲み物を置いたり、資料を置いてもいいですし、サブ機のノートPCなんかも置けます。メインとなるスチールラックに置きたくないものはこちらに乗せる、というような使い方をします。やってみると案外便利なことに気づくと思います。
スピーカーが壁から近く、またリスニングに際して左右対称でもないため、左右の音の周波数特性が変わってしまうことが難点です。また、低音と中高音のバランスをとることも難しいです。そのため、最終的にはGLMなどの音響補正をソフト側で行います。
結局のところ、超がつくほどのニアフィールドでリスニングします。部屋の影響は少なくできるのですが、サブウーファーを含めたユニット全体の音量バランスを整える意味でも、補正しておいたほうがよいです。
実は意外とこのセッティングは理にかなっています。スピーカーを設置する台は重くしたほうがいいのですが、それはサブウーファーやPCが重りとなってくれます。各種乗せるもの、スピーカー、サブウーファー、PCの下にはインシュレーター、防振ゴム、ウレタンパットなどを置くことで、スチールラックの共振も実用レベルで抑えられます。またスチールラックは網状なので、音が板のように共振せず音響的に透明です。ちなみに、このスチールラックにスマホを置いた場合、バイブ機能で振動してもラック自体が静かなものなので気づかないレベルです。
超ニアフィールドを目指しており、スピーカーの音もサブウーファーの音も、直接音を聞きます。従ってかなり小さな音で聞いたりミックスしたりします。スピーカーセッティングや部屋のセッティングは、何においても一長一短があり、すべてを満足させることは出来ません。また、好みによる部分も多々あります。このような配置はニアフィールドの理にかなっており、実用面でも理にかなっているので、試してみるのもよいかもしれません。