タイトルの通り、皆さんは楽曲制作の上手い下手をどのように捉えていますか?一応ここではわかりやすいように、作曲、編曲、打ち込み、ミックスあたりに工程を分けて考えてみましょう。
まず作曲について。作曲の上手い下手というと、メロディがきれいかどうか、キャッチーかどうか、まずはそれくらいでいいと思います。なんやかんや、作曲は音楽制作の要です。はっきり言えば、他の工程よりも2ランクは重要度が高いです。著者が最も大切だと思うことは世界観の構築です。楽曲ごとに使われる場面は様々であり、それに合った曲にする必要があります。よくあるのは、作ったどの曲も同じ雰囲気になってしまうという点です。このあたりもまた、楽曲のクオリティとしてカウントされているように思います。もう先に言ってしまいますが、作曲が楽曲のすべてです。これがいい、という話になると、編曲やミックスは自分よりもっと上手い人がやってくれます。「人に求められる作曲」、これが1つにキーワードになりそうです。
編曲について。ここで悩む人はかなりたくさんいることと思います。編曲では基本的に各種楽器への知識や演奏技量が求められます。主な学習方法は耳コピです。というより、耳コピでしか学べないと言っても過言ではありません。そして、やってるプレイが大体わかったとしても、同じように楽器演奏できるか、打ち込みできるか、が上手い下手を分けます。昔の時代は、例えばギターは音源で打ち込むよりも生で演奏しないと表現力が乏しく、また嘘くさい。なんて言われていました。現在はボカロ曲などの界隈の登場によりDTMの裾野が広がり、あからさまな打ち込み音源も多くなり、こういった機械的な打ち込みサウンドは結構許容されているように思います。極端なことを言えば、人が弾けないフレーズでも世間的には構わないように思います。それに、先にも言いましたが、作曲というかメロディとコード進行がよければ、曲作りをサポートしてくれる方が現れ、その人がいい感じに編曲してくれます。編曲で使う楽器は多いと思いますが、どの楽器も餅は餅屋であり、その道の人にフレーズの再構築からお願いし、演奏してもらうことに最終的にはなりますから、デモ音源の段階では世界観を適切に盛り上げる程度の編曲ができれば十分かと思います。
ミックスについて。ここも鬼門に思う人が多い部分です。「自身の楽曲が悪いのはミックスが悪いからだ」と思う人も多いことでしょう。しかし実際はミックスはそれほど楽曲制作の工程の中では優先度は高くありません。音楽制作をやらない人は、あまりミックスの良し悪しまで聞いていないことが過去の各種アンケートでも度々議論の的になっています。よくミックスの良し悪しで「音がきれい」「音が分離している」「生々しい」「濁っていない」などが挙げられていますが、本当のところこれはあまり重要ではありません。ミックスは実は作曲や編曲に伴う世界観の構築によって、「明確にやり分けて」います。ミックスを単なるエンジニアリングだと思ってはいけません。作曲や編曲と同じく、クリエイティブな工程なのです。簡単な例を挙げれば、ミックスで楽曲をより暗く、湿っぽくすることも可能ですし、録音にもよりますがカラッと乾いた明るい感じにすることも可能です。元々ミックスはレコーディングとセットで考え、音作りの一端を担います。ですから、ミックスの上手い下手というと、単に音がきれいという話ではなく、きちんと世界観ごとにやり分けていて、世界観にどれだけフィットしたイメージになっているかで判断したほうが良いです。
最後に打ち込みについて。これは結構好みが出ます。世間ではいわゆる「ベタ打ち」は止めようと言われたりしますが、逆にアーティキュレーションを付けすぎることにより、その楽器ではあり得ない表現になってしまっていたりと、なかなか考えものな要素が多いです。また、コンプなどで音の粒を揃えることと、打ち込みで強弱を極端につけることも競合したりと、あまり単純な話でもないです。ちなみに、この点は音源はベロシティ強弱により何段階かで音色が変わっているので、そのスレッショルドを行き来するように打ち込めば、音を均一化しても表現力はでたりします。個人的には、デモの段階だと変に表現をつけて聞きにくくするよりかはベタ打ちで構わないと思います。その後の工程に進む場合、前述の通り、その道のプロがそれぞれの楽器をいい感じにしてくれます。従って、優先順位としては作曲を第一に考えてほしいということですね。
以上、楽曲のクオリティはこういったことの総合で決まってきます。よく素人っぽい曲、プロっぽい曲、というように揶揄されることがありますが、なかなかピンポイントでこれが悪いからよく聴こえないという話でもないですし、指摘するのも難しいです。ですが制作方法としてのプロセスでも「音がきれい」だから「曲のクオリティが高い」と考えがちなので、この点を一度見直すようにしてほしいです。実際は作曲、編曲、ミックスがササッと作ったラフっぽい音でも、人を惹きつけるのは「世界観の深さ」です。人が引き込まれるポイント、映像につける楽曲として求められるポイント、それらはこの一点ではないかと個人的には思います。